自身の投資に関する活動や勉強のため、しばらく更新が滞ってしまいました。
僕自身のアセットアロケーションとしても、暗号資産の比重を高めていこうとしており、暗号資産の種類、技術、サービス等を改めてリサーチしています。
自身の頭の整理も兼ねて、記事を書いていこうと思います。
今回は世界初のブロックチェーン技術を実用化した暗号資産「ビットコイン」について解説していきます。ビットコインの存在自体は多くの人が既に知っていると思うので、問題点や将来性についても触れていきます。
開発者
サトシ・ナカモト(正体不明)
サトシ・ナカモトの正体を巡っては様々な説が出回り、自身がそうであると吹聴する者も現れているが、未だに正体は分かっていません。
開始時期
- 2008年10月 サトシ・ナカモトがビットコインの論文を公開
- 2009年1月 有志による開発で初めてビットコインが発行される
- 2010年2月 ビットコイン取引可能な世界最初の取引所が誕生
コンセプト
- 仲介者が存在しないため、非常に低い手数料で、すばやく、送金・決済が可能
- ブロックチェーン技術を用いているため、情報は世界中のコンピューターのネットワーク上に分散して保存されており、改ざんが極めて難しく、消えることもない
今では多くの暗号資産が同様のコンセプトをもって開発されています。
実用
現状では社会に幅広く実装できているわけではないですが、以下のような取り組みは進んでいます。
- 世界中のECショップ、実店舗でビットコイン決済が拡大
- 現金をビットコインに両替できるATMも増加中
技術
ビットコインの主な技術は以下の通り。
P2Pネットワーク
P2Pネットワークとは、国や銀行等の中央管理者が存在せず、世界中のコンピュータ同士が結びついて、データを保持するネットワーク。それぞれの端末が対等にデータを保持しているため、一部が攻撃を受けても全体に影響がないということです。
PoW(Proof of Work)
PoWはコンセンサスアルゴリズム(合意形成の仕組み)と呼ばれ、管理者の存在しないブロックチェーンネットワークにおける、取引の正当性を確認する仕組み。具体的には、ネットワーク上にデータを書き込む際、特定の答えを見つけるための膨大な計算の競争を行います。この計算作業をマイニングと呼び、一番先に答えを見つけたマイナーに報酬が入ります。データ改ざんを行うには、世界中のマイナーの計算能力を上回る必要があるが、現実的には天文学的なコストがかかるので不可能です。
ビットコインの発行枚数は2,100万枚と定められており、2140年にその枚数に到達し、それ以上マイニングできなくなります。
世界初の暗号資産なので当たり前ではありますが、ビットコインは他のブロックチェーン技術と比較するとベーシックな技術で、価値の保存や移動に特化したブロックチェーンです。新しいブロックチェーン・プロジェクトでは、それらを改良した技術や新技術、独自機能が付加されています。
課題
最初にして最大の暗号資産であるビットコインにも課題があります。
信用
ビットコインというよりは仮想通貨全体の問題ですが、価格変動が激しいため、価値の保存手段としても、決済手段としても利用が難しい状況です。現状は、値上がりを狙った投機目的で利用されている。社会的信用を得るにはまだ時間が掛かりそう。
規制
これもビットコインに限った問題ではないですが、マネーロンダリング防止等の名目で、暗号資産の取引が禁止されている国があります。日本においては禁止はされていませんが、非常に不利な税制となっています。こうした規制や税制の改善が進まなければ、投資としての魅力も向上しないし、暗号資産技術が社会に実装され人々の生活をより便利にするという理想は実現出来ないでしょう。
スケーラビリティ問題
スケーラビリティ問題とは、暗号資産の利用者が今後大きく増加した場合に生じる問題です。
処理能力
ビットコインが1秒間に処理できる取引の数は約7件であり、Visaカードは約2000件と世界中が利用するには能力不足
エネルギー問題
膨大な電力を消費するPoWという仕組みを採用しており、環境への悪影響が懸念されている。また、マイニング事業には、多くの人が関わり、大量の投資が行われている。本質的には何も生み出していない膨大な計算のために、様々な無駄が生じており、いずれ解決しなければならない問題となる。
暗号資産のコンセンサスアルゴリズムとして、PoWは既に古い技術であるとされ、最近ではPoSが採用されるようになっている。
ハードフォーク
暗号資産の取引量が増加すると取引承認が追い付かず、取引の遅延や手数料の高騰が生じます。その解決のために、ブロックサイズを拡大する等の仕様変更を行うことによって、この問題を解決することができます。しかし、そのような仕様変更を支持する人と指示しない人に意見が二分されてしまった場合に、ハードフォークと呼ばれる暗号資産の分裂が起きます。ビットコインにおいては既にハードフォークが起きていて、ビットコインキャッシュ、ビットコインSVなど多数のコインに分裂しました。ハードフォーク時、旧通貨を持った人には新通貨が付与されますが、分裂したどの通貨を人々が支持するかによって、価格変動が大きくなります。
結果的に優れた技術が残ればいいのですが、ハードフォークが頻繁に起きているようでは、信用力を失います。また、投資家が必ずしも優れた技術を持つ新規通貨を選ぶわけではなく、実際旧通貨のビットコインが圧倒的な時価総額を維持しています。
将来性
ビットコインの抱える課題を乗り越えるための取組み、情勢はどうなっているのでしょうか。
スケーラビリティ問題への対応
スケーラビリティ問題の解決のために取り組まれている技術についていくつか紹介します。
segwit
2017年8月にビットコインに実装された技術で、Segregated Witnessの略です。
ブロック内の署名と取引データを分離することで、1つのブロックに含める取引数を増加させ、取引処理量を増加させることが可能にする技術です。
オフチェーン・スケーリング
ブロックチェーンの外で取引を行い、一定期間の取引の結果をまとめてブロックチェーンに書き込むことでブロックチェーンに書き込むデータ量を削減する仕組み
サイドチェーン・スケーリング
ビットコインのブロックチェーンに紐付いた新たなブロックチェーンを作る仕組み
デジタルゴールドとしての地位
人々の信用が集まり、多くの機関投資家、一般投資家が保有するようになれば、ゴールドの時価総額に近づいていき、価格が上昇・安定する可能性があります。ビットコインで巨万の富を得たことで有名なウィンクルボス兄弟の予想では、ゴールドの時価総額は9兆ドル(約948兆円)であり、現在時価総額は2000億ドル(約21兆円)のBTCがこれに追いつけば、長期的には1BTCが50万ドル(現在の約50倍、5000万円)に達するとされています。
規制緩和・税制の改善
犯罪に利用されることを防止するとか、詐欺から国民を守るという尤もらしい理由もありますが、それ以上に各国の思惑が絡み合っており、世界的に規制緩和が進むかどうかは不透明です。日本の酷い税制も改善が進む気配がほとんどありません。
まとめ
- 世界初、時価総額最大で、暗号資産の中では最も信用されている
- PoWという古い技術を採用しており、エネルギーや処理スピードなどの面で問題を抱えている
- しかし、多くの人はビットコインの技術ではなく希少性に投資している