FX投資は初心者には比較的難しい投資と言われています。米国株であれば長期積み立てしておけば勝手に値上がりするのですが、FXはレンジ相場になりやすく動きが読みにくいためです。
そんなFX投資においても、使い方によっては初心者でも比較的簡単に中長期トレードができる仕組みがあります。それがマネースクエア社が提供しているトラリピというものです。
トラリピとは
トラリピとは「トラップ」「リピート」「イフダン」を掛け合わせた仕組みです。
イフダンとは、例えば100円でドルを買って、101円で売るという設定を同時に行う注文です。
リピートとは、決済成立後、同じ注文を繰り返すことです。100円で買い、101円で売って、また100円まで下がったら買い、101円で売るということを繰り返します。
トラップとは、いくつもの注文を等間隔にまとめて設定する方法です。105円から100円のの範囲で1円間隔で注文を入れると、105、104、103、102、101、100円でそれぞれ買いが入ります。通常の注文方法でこれをやろうとすると、6回も注文設定をする必要がありますが、トラップ注文は1回の注文でできるという訳です。
この3つの注文方法を掛け合わせたものがトラリピで、図で表すと下のようになります。
(引用:マネースクエア社 FXでトラリピ®をはじめよう)
等間隔に仕掛けられた多数の売買注文が自動で繰り返し行われます。相場が仕掛けのレンジ内にいる間は延々と売買が繰り返されます。
コンセプト
株式は景気の流れによってトレンド相場になりやすい一方、為替相場はレンジ相場になりやすいと言われています。マネースクエアによれば、2014~18年のドル円価格の高低差の5年平均は15.03円ですが、小さな値動きを延べで積み重ねた「総推移」の5年平均は511.43円にもなります。すなわち、FXでは大きな値動きで利益を狙うよりも、小さなチャンスを細かくとっていった方が利益をあげられると考えられます。しかし、普通の投資家、特に時間のない会社員はそんなことをやっていられません。そこで考え出されたのがトラリピです。トラリピを使えば、細かく上下するレンジ相場でも、繰り返し小さな利益を積み重ねることができるということです。レンジ相場の中に存在する無数の小さなチャンスを可能な限り全てゲットしようという仕組みと言えると思います。
メリット
設定が簡単
一度の設定で多数のリピートイフダン注文を行うことができます。
短期の相場を読む必要がない
デイトレードをする場合、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析を駆使して、相場分析する必要があります。しかし、トラリピはそのような短期の相場を読む必要がなく、投資する通貨ペアがどれくらいのレンジで動きそうかという長期の戦略を考えるだけでよいです。
チャートに張りつく必要はない
レンジ相場の為替相場でデイトレードを行おうとすると、分析と売買実行を何度も行わなければならず、意思決定の回数が非常に多くなります。意思決定が多いということは、多大な時間と気力を消費することを意味します。一方、トラリピは一度設定してしまえば、基本的には何もしなくてよいので、忙しい人に向いています。
リスク
トレンド相場に不向き
トラリピはレンジ相場が長く続くほど利益が積み重なる設計ですが、逆にトレンド相場になってしまうと、想定していたレンジを外れてしまう可能性があります。当然ですがレンジを外れると、売買が行われず利益が出なくなります。また、例えばロングのトラリピを入れていた場合、レンジを下抜けすれば含み損をかかえることになります。
含み損
デイトレードの世界では「落ちるナイフは掴むな」と言われており、下落相場で繰り返し買い足しを行う「ナンピン」は避けた方がよいとされています。しかし、トラリピではあえてそれを実行するので、必ず含み損を抱えます。レンジ相場で売買を繰り返し、利益を積み重ねることで、徐々にその含み損を上回っていくという考え方です。そうした設計の投資であることを理解していても、含み損を毎日見ていると不安になるものです。
利益を増やすのに時間がかかる
トラリピは多数の注文のトラップを仕掛けている分、1注文当たりのポジションが小さく、利益も小さくなります。始めたばかりの頃は、いつになったら含み損を超える利益になってくれるのかと、じれったく思うかもしれません。
スプレッドが広い
スプレッドとは買値と売値の差で、これが手数料になります。他のFX会社では0.1~0.3銭とされているところ、トラリピでは2.5銭となっていて結構高いです。トラリピの性質上、利用者の多くが多数の注文を入れている状態になるので、それを滞りなく実行するにはコストがかかるものだと理解はしています。以前はスプレッドが4銭だったので、大分下がってきてはいます。
トレードの考え方
実際、トラリピを活用しようとした場合、どのような考え方でトレードを進めていけばよいのか見ていきましょう。
仕掛け設定
通貨ペア
まず通貨ペアを選びます。高低差が小さいレンジ相場の通貨ペアがトラリピ向きです。米ドル円、豪ドル円、カナダドル円あたりが人気のようです。
また、買いでも売りでも仕掛けることができます。注意点は、売りの場合はマイナスのスワップが発生しますので、長くポジションを持つとちょっとずつ資金が減っていきます。
仕掛け幅
選んだ通貨ペアがどれくらいのレンジで値動きするか予想し、仕掛け幅を決定します。幅を狭くすると効率は上がりますが、レンジから外れるリスクがあります。幅を広くすると、レンジから外れるリスクが下がりますが、効率は下がります。
口座開設すれば、他の利用者のトラリピ設定傾向のレポートが見れたりするので、それを参考にしてもよいでしょう。
仕掛け間隔と注文金額
自分の資金に合わせて仕掛け間隔と注文金額を決めます。
利益幅
1注文毎でいくらの利益で決済するか決めます。値動きが大きい場合は利益幅を大きくした方が有利で、値動きが小さい場合は利益幅を小さくした方が有利です。注意点は、スプレッドが大きいので、利益幅を小さくし過ぎると手数料負けして、思いのほか利益が出ないということになってしまいます。
ストップロス
想定のレンジを超えて、含み損が大きくなった場合に、どの水準で損切りするかということを決めます。為替相場はレンジ相場になりやすいですが、ショック相場や政権交代などにより時々大きなトレンド相場になります。想定のレンジから一度大きく外れてしまうと、元のレンジに戻ってくるのに時間がかかる可能性があります。感情的には損切りは辛いと思いますが、想定をある程度外れてしまったら、仕切り直して戦略を立て直す方が資金効率が良いです。
想定レンジ内で実施すること
想定レンジ内で推移している場合は、基本的に何もしなくてOKです。仕掛けたトラリピが勝手に売買を繰り返して細かく利益を積み重ねてくれます。やることと言えば、時々チャートを見て想定内のレンジ内で動いていることを確認するとか、日々ポジションが決済されて小銭が入ってくるのを見てほくそ笑むくらいです。
トレールのON/OFFや利益幅調整は仕掛け設定後も変更できるので、相場の状況に合わせて微調整しても良いでしょう。値動きが大きい場合は、トレール設定をONにしたり、利益幅を広くし、値動きが小さい場合はトレール設定をOFFにしたり、利益幅を小さくすると効率が良くなる可能性があります。ただ、相場の状況を読むこと自体が難しいので、そんなに頻繁にはいじらなくてよいかと思います。
想定レンジ外で実施すること
問題なのが想定レンジを外れてしまった場合です。このときばかりは、ちゃんと考えて戦略を練り直す必要があります。利益がまだ積み重なっていない段階でストップロスに引っかかってしまった場合は、運が悪いとしか言いようがないので切り替えましょう。
レンジを外れてしまったら、改めて想定レンジを決めて仕掛け直すか、あるいは通貨ペアを変えてみる手もあると思います。
もっとマクロ視点で、株式や債券、金などの別のアセットへの投資に切り替えることも検討してみてもよいと思います。
トラリピNG行動
通常のFXトレードとは異なるので、トラリピならではの注意点もあります。
トラリピ設定を解除して裁量トレードはNG
相場の動きに感情的になってトラリピ設定を解除してしまうのはNGです。欲張ってもっと利益を出そうとしたり、想定レンジ内なのに含み損に恐れて狼狽売りしたりしてしまうと、この投資方法の意味が失われます。最初に自分で立てた戦略通りに行動しましょう。
トラリピ設定を頻繁に変更はNG
その時々の相場状況に過敏に反応して、トラリピ設定を頻繁にいじるのはおすすめしません。時々トレール設定や利益幅を微調整するくらいなら構わないですが、相場を読んで狭い範囲に注文を集中させると言ったことをしてしまうと、それは既に裁量トレードになってしまっておりリスクが高まります。戦略を見直すにしても、せいぜい半年とか1年のスパンで行うのが良いでしょう。
もちろん、いずれのケースも自分なりに合理的に考えた上で、戦略変更するのは構いません。あくまでも、感情的に設定をいじくりまわしてしまうのはまずいということです。
まとめ
比較的安定的にFXトレードができるトラリピについて解説してきました。トラリピのポイントについて改めてまとめます。
- トラリピは一発で大きな値幅を狙うのではなく、レンジ相場の中で小さな利益を自動で積み重ねる仕組み
- 一度戦略を立てて仕掛けを設定したら、あとはじっくり待つ
- 仕掛けた設定は頻繁にはいじらない
- 想定レンジを外れたら、戦略を練り直す
別の記事で過去の僕の成績を紹介します。
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