最近上昇している金や債券は安全資産と呼ばれており、経済が悪化して株の暴落の可能性がある場合の資金の逃避先として選ばれます。
ただ、株式くらいはやったことあるけど、金を買うとか、債券を買うとかいうのは、ちょっとよく分からないな、という人は多いのではないかと思います。そういう人のために、債券ETFやコモディティ(商品)ETFというものがあります。
これらを知っておくことで、景気後退局面の資金の逃避先を現金ではなく、債券や金にするという選択肢も増えます。
債券ETF・コモディティETFとは
債券ETF
債券にも様々な種類があります。大きく分けると国が発行する国債と企業が発行する社債があります。債権は決められた満期まで保有すれば、元本が戻ってきます。満期を待たずに売却することもできますが、その際は売却額が元本以下になる、元本割れのリスクはあります。また、債券を発行する国や企業が経済的に破綻して、元本や利息の支払いができなくなる債務不履行(デフォルト)になるリスクもあります。基本的に利回りの高い債券は、リスクも高いです。
そんな様々な債券の中でどれを買おうか迷ってしまう人のために、債券ETFがあります。
- 株式と同じ感覚で売買できる
- 長期・中期・短期の国債や社債をバランスよく組み合わせて分散投資できる
- 株式と逆相関になることが多くリスク分散になる
- 値動きが安定していながら、分配利回りもまあまあ
- 債券ETFの多くは分配金が毎月貰える
コモディティETF
コモディティとは、金、銀、プラチナ、原油、穀物などの商品を指します。インフレ時にはこれらの商品が値上がりするので、資産の逃避先として選ばれることが多いです。原油は、戦争・紛争やクリーンエネルギーの台頭、各国の環境政策の影響を受けます。穀物は、気候や害虫の大量発生などの影響を受けます。金はそういった外部環境による影響がなく、希少性が高い商品なので、資産逃避先として、一番人気です。
- 株式と同じ感覚で売買できる
- 株式との相関性が低いためリスク分散になる
- 現物取引に比べて手数料が安い
ちなみに、人類が有史以来掘り出した金の総量は、2019年末時点で約19万トン、50mの競技用プール約4杯分しかありません。これを世界中の人が取り合っているというのは、不思議なものです。
主要な債券ETF・コモディティETF
主要な債券ETFとコモディティETFを見てみましょう。
債券ETF
種類 | 銘柄名 | ティッカー | 経費率 (%) |
分配利回り (%) |
5年騰落率 (%) |
全般 | バンガード米国トータル債券市場ETF | BND | 0.04 | 2.39 | 24.73 |
米国債 | バンガード 米国中期国債 | VGIT | 0.05 | 1.82 | 20.20 |
全般 | iシェアーズ・コア米国総合債券ETF | AGG | 0.05 | 2.36 | 24.32 |
社債 | iシェアーズiBoxx米ドル建て投資適格社債ETF | LQD | 0.14 | 2.86 | 41.23 |
社債 | iシェアーズiBoxx米ドル建てハイイールド社債ETF | HYG | 0.49 | 5.00 | 26.86 |
米国債 | iシェアーズ米国物価連動国債ETF | TIP | 0.19 | 0.86 | 23.56 |
全般 | SPDRブルームバーグ・バークレイズ・ハイイールド債券ETF | JNK | 0.40 | 5.49 | 25.51 |
債券ETFを保有する目的が安定性であれば、おすすめはVGITかBNDです。
コモディティETF
種類 | 銘柄名 | ティッカー | 経費率 (%) |
分配利回り (%) |
5年騰落率 (%) |
金 | iシェアーズ・ゴールド・トラスト | IAU | 0.25 | 0 | 85.66 |
金 | SPDR ゴールド シェア | GLD | 0.40 | 0 | 84.25 |
金鉱株 | ヴァンエック ベクトル 金鉱株ETF | GDX | 0.52 | 0.48 | 176.36 |
銀 | iシェアーズ・シルバー・トラスト | SLV | 0.50 | 0 | 80.11 |
全般 | インベスコDBコモディティ・インデックス・トラッキング・ファンド | DBC | 0.87 | 1.91 | -11.76 |
農産物 | インベスコDBアグリカルチャー・ファンド | DBA | 0.92 | 1.63 | -30.02 |
全般 | iシェアーズS&P GSCIコモディティ・インデックス・トラスト | GSG | 0.85 | 0 | -25.52 |
安定性という意味では金ETFのIAUがおすすめです。金価格以上の上昇を狙いたいなら金鉱株ETFのGDXもおすすめです。
リアルタイムチャート
債券やコモディティが本当に安全資産になるのか、という点については別の記事で検証します。
証券口座をまだお持ちでない方は、↓でどうぞ。