前回の記事で投資の必要性について多少理解してもらえたかもしれませんが、そうは言っても投資にはリスクはつきもので怖いという人もいるでしょう。この記事では、投資におけるリスクと、そのリスクをどのようにとらえれば良いのか説明します。
失敗したら取り返しのつかない、大変なことになる?
投資に手を出せない人の多くは、失敗したら莫大な借金を背負うことになる、という負のイメージをもっているようです。しかし、実際のところ普通に取引をしていれば、そのようなことは起こり得ません。
むしろ、どうしたらそんなことになるのか考えてみよう。
答えはシンプルで、借金して得たお金を元本に投資するからです。
例1 何らかの方法で他人からお金を借りて株に投資
金融機関や知人・家族などから借りた100万円を株に投資。その後、投資先の企業が潰れて株価が0円になったとしよう。すると、借りた100万円が消えてしまい、借金として残る。
例2 信用取引の追証が払い切れずに借金となる
株取引には現物取引と信用取引があります。現物取引は、多くの人がイメージする通り、自分のお金で株を買うこと。信用取引は、自分の持っているお金の何倍もの額のお金で取引ができる仕組みです。このような方法を、「レバレッジをかける」と言います。株であれば3.3倍、FX(外国為替証拠金取引)は25倍、仮想通貨(暗号資産)は2倍までのレバレッジを掛けられることになっています。レバレッジをかければ、利益も損失もそれだけ倍増します。
100万円の委託保証金を証券会社に預け、レバレッジ3.3倍の上限330万円分の株を購入したとします。この株が暴落して200万円まで下がると、マイナス130万円の含み損が発生し、委託保証金がマイナスになります。すると、証券会社から「金が足りないから、期日までに○○円振り込め」と連絡が来ます。これが追加証拠金(通称:追証)です。この期日が翌々営業日とか、わりと厳しいため、手持ちの現金がないと慌てて高金利の消費者金融などでお金を借りてしまう人がいるというわけです。
じゃあ、追証なんて無視すればOKじゃん。と、思うんだけどそう甘くない。期日を守らないとまず、全建玉(すべての購入済みの株)が強制決済されてしまいます。そのお金でも、委託保証金がマイナスの状態なら、それが借金として残ります。その借金も放っておくと、その債権(借金を取り立てる権利)が債権回収会社に売られ、しつこく督促のハガキが自宅に届くことになります。驚くべきことに、引っ越してもハガキが来ます! 債権回収会社は、役所から債務者の住所を入手する権利をもっています。
その借金にも5年という時効があるので、法律事務所や行政書士に相談すれば逃げ切ることもできますし、自己破産という手もあります。ただ、それをやると業界の中でブラックリスト登録されて、二度と主要な証券会社で取引は出来なくなるかもしれません。
ちなみに、FXと暗号資産は僕の知る限りでは、委託保証金が0円になるよりも大分手前で強制ロスカットされる仕組みがあるので、借金になるケースは少ないでしょう。
相当無茶なことをしなければ投資で借金を背負うことはない
ここまで怖いケースを話してきましたが、かなり無茶な取引をしなければこんなことにはなりません。最悪の場合、このようなリスクがあると分かった上で、どのように対処すればよいのかというのが次の話です。
リスクとの付き合い方
さあ、リスクが分かったところで、対処方法は2つです。
- 投資は自分の余裕資金だけで行う
- 信用取引は行わない
これだけ守ればOK。
ただ、実際のところ僕はFXと暗号資産の口座をもっていて、信用取引をできる状況にはあります。しかし、レバレッジ1倍に調整してリスクをコントロールしています。つまり、100万円しかもっていないのなら、100万円分のビットコインしか買わない、ということです。そういう対処法もあります。
これまで銀行の中だけで資産を管理していた人にとって、お金をリスクに曝すのは怖くて、どのように対処してよいのか不安になるのは当然です。ただ、リスクを正しく把握せず、リスクを過大評価しすぎて、ガチガチに固まって何もできなくなる、というものまた不合理な行動になってしまいます。
リスクを正しく知り、対処法を考え、手を打っておく。そして、リスクとリターンのバランスを考えて意思決定をするのがよいのです。これは投資に限らずですね。
詳しい話はまた別の記事で説明していきます。
- 人から金を借りたり、信用取引で投資をすると借金になる可能性がある
- でも、相当無茶しなければそんなことにはならない
- 投資は、自分の余裕資金だけで行う。初心者のうちは信用取引はしない。これで借金リスクはゼロ!